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ルイ・マルという人物はご存知でしょうか。
ルイ・マルはヌーヴェルヴァーグ運動の原動力ともなったフランス映画界の異端児です。
今回はルイ・マルという人物について簡単に解説したあとに、代表作品を紹介します!
ルイ・マルってどんな人?
監督名 | ルイ・マル(Louis Malle) |
本名 | ルイ・マル(Louis Malle) |
生没日 | 1932年10月30日〜1995年11月23日(63歳没) |
出生地 | フランス共和国・ノール県トゥムリー |
配偶者(妻) | アン・マリー・デショット(1965年-1967年) キャンディス・バーゲン (1980年-1995年) |
受賞歴 | 第9回カンヌ国際映画祭(1956)パルム・ドール『沈黙の世界』 第37回ヴェネチア国際映画祭(1980)金獅子賞『アトランティック・シティ』 第44回ヴェネチア国際映画祭(1980)金獅子賞『さよなら子供たち』 第28回アカデミー賞 (1956)長編ドキュメンタリー映画賞『沈黙の世界』 |
富豪の家に生まれる
ルイ・マル(Louis Malle)は1932年にベルギーとの国境に近い、フランス北部のノール=パ・ド・カレー地域圏トゥムリーのブルジョワの家庭に生まれます。
第二次世界大戦が勃発すると疎開し、カトリック系の寄宿学校で過ごします。
その後ソルボンヌ大学へ入り、政治科学を専攻するも、途中退学。両親を説得して、パリの高等映画学院(IDHEC)に入学します。
ルイ・マルが生まれたフランス・ノール県のコミューン・トゥムリーの位置 ↓
パルム・ドールの受賞から大ヒット映画監督へ
その後、名匠として知られるロベール・ブレッソンの助手を務め、1956年に海洋生物学者であるジャック・イブ・クーストーに依頼され共同で監督を務めたドキュメンタリー映画「沈黙の世界」でカンヌ映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞。
そして、25歳のとき、自己資金で製作した初の長編作品『死刑台のエレベーター』が大ヒット。
主演を務めたジャンヌ・モローと共に世界的な評価を獲得しました。
多様なヒット作品を生み出す
その後は『恋人たち』をはじめとする官能色の強い作品や、コメディ『地下鉄のザジ』、社会派テーマの『アトランティック・シティ』など、ジャンルの枠にとらわれずヒット作を生み出し続けていきます。
また、カンヌ映画祭の審査委員長を務めるなどの活躍もみせました。
私生活と晩年
私生活では、ジャンヌ・モローとの交際や、女優アン・マリー・デショットとの最初の結婚、ドイツ女優のギラ・フォン・ヴィターハウゼンとの交際を経て、最終的にはアメリカの女優キャンディス・バーゲンと晩年を過ごします。
そして、1995年に癌により、この世を去りました。(享年63歳)
ルイ・マル作品の特徴
- ジャンルの多様性
- 斬新な撮影技法
- 戦争など社会的テーマ作品が多い
ジャンルの多様性
ルイ・マルはとにかく多様なジャンルの作品を撮った人物としてよく知られています。
『死刑台のエレベーター』をはじめとする犯罪映画、『地下鉄のザジ』といったコメディ作品、『さよなら子供たち』を代表する反戦映画など、ジャンルの枠に囚われず作品をつくり上げていきました。
斬新な撮影技法
また、ルイ・マル作品では斬新な撮影スタイルが特徴的です。
特に『死刑台のエレベーター』では、当時渡仏中であり、ルイ・マル自身ファンであった現代ジャズの帝王マイルス・ディヴィスに頼み込み、収録済みの映像に向かって即興演奏させ、演出したことは有名です。
戦争など社会的テーマ作品が多い
自身も少年時代、戦争によって疎開した経験があり、戦争がテーマの作品が多いことも特徴の一つです。
『さよなら子供たち』や『ルシアンの青春』など少年目線で描いた反戦映画が代表的。
また、12歳の娼婦を描いた『プリティ・ベビー』など、社会的なテーマ作品も多く存在します。
ルイ・マル作品に対する評価や影響
多才であり、鬼才
ルイ・マルはよく「鬼才」と呼ばれることがありますが、その理由として、初の長編処女作である『死刑台のエレベーター』25歳の若さで監督したことや、多様なジャンルの作品を生み出したことなどが理由に挙げられます。
国際的評価が高く、カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭に何度もノミネート・受賞を果たしています。
ヌーヴェルヴァーグの原動力
ルイ・マル自身はヌーヴェル・ヴァーグ運動に参加しませんでしたが、ルイ・マル作品はヌーヴェルヴァーグの作家たちの大きな原動力となりました。
(ヌーヴェルヴァーグの監督たちが起こしたカンヌ映画粉砕事件でも審査員を務めていたルイ・マルは擁護する立場に回っています。)
ルイ・マルの観ておくべき代表作品3選
死刑台のエレベーター
ルイ・マル監督25歳の若さにして長編処女作の『死刑台のエレベーター』。
完全犯罪をなし遂げた後の男とその不倫関係にあるジャンヌ・モロー演じる女の悲劇を描いた作品。
ルイ・マルはこの作品でモダン・ジャズの帝王との異名を持つマイルス・デイビスに収録した映像に向かって即興演奏させるといった斬新な撮影を試みました。
ルイ・マル監督の名が一気に世界に知れ渡ることになった代表作の一つです。
あらすじ
土地開発会社の技師、ジュリアンは社長夫人フロランスとの禁断の情事にのめり込み、彼らは社長の自殺を装って犯罪計画を実行する。しかし、犯行後、運命が狂いだす。社内で残された証拠に気付いたジュリアンは現場に戻ろうとするが、週末の電源落としでエレベーターに閉じ込められてしまう。
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地下鉄のザジ
これまで、犯罪映画や不倫を描いた作品を撮ってきたルイ・マル監督が打って変わって天真爛漫な少女を主人公にしたコメディ作品を撮ったことで、衝撃が走りました。
『地下鉄のザジ』は元々はレイモン・クノーのベストセラー小説をルイ・マル監督が映画化したもので、地下鉄に乗りたい少女ザジがパリの街中を駆け巡る、ドタバタコメディです。
ザジの屈託のない笑顔が印象的で、観ているこちらも癒されます。
あらすじ
十歳の少女ザジは、母と初めて訪れたパリで、母は彼女を叔父ガブリエルに預けて恋人と姿を消す。ガブリエルは夜のクラブの芸人で、ザジの夢はパリの地下鉄に乗ること。しかし、ストライキで夢破れ、彼女は叔父の友達で優しい運転手シャルルに助けられる。家に到着すると美しい叔母アルベルチーヌが出迎え、翌朝、ザジは一人で地下鉄に向かうが、門が閉まっていて失望する。泣くザジの前に現れた謎の男との奇妙な冒険が始まる…
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さよなら子供たち
『さよなら子供たち』はルイ・マル監督の寄宿学校時代の体験を自伝的に描いたもので、ナチス占領下のパリの寄宿学校に匿われているユダヤ人の少年との交流や別れを描いた作品です。
戦争モノですが、戦闘シーンはいっさい描かず、主人公の少年の目線から戦争を冷ややかに捉えています。
特にラストシーンは胸に込み上げてくるものがあります。
あらすじ
1944年、ナチス占領下のフランス。疎開生活を送る12歳のジュリアンは、クリスマス休暇明け、新しい転校生ジャンと出会う。ジャンの家族が戦争に巻き込まれている中、二人は深い友情を育むが、ジュリアンの差別的な言動が時折、喧嘩の原因となり…
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鬼才ルイ・マルの代表作を堪能しよう
いかがだったでしょうか。
ルイ・マルは多才な映画監督であり、作品のバリエーションの豊富さには驚かされます。
今回紹介したルイ・マルの才気溢れる代表作品をぜひ一度味わってみてください。